旅、ファッション、メイク、ヘアスタイル…etc.創刊と同時に日本中の女性に様々なブームを生み出してきた『anan』。1970年代の『anan』は他者の視線やモテを意識したものではなく、ファッションやヘアスタイルなどで自己満足感をどう高めていくかという特集が多くありました。1980年代に突入し、女性たちの働き方に対する意識が変わり始めると職業・就職情報をいち早く特集しましたが、同時に「同棲」や「男と京都へ」という特集のように、少しずつ異性との関係も紹介、提案するようになってきました。
今回紹介するのは1985年に発売された『anan』No.465。表紙には「男性飼育法」「こんなファッションなら腕組んであげる」「彼の感覚革命」と女性の上から目線なワードがあちこちに。これまでずっと自分自身をプロデュースしてきた読者が、次にプロデュースしたいと思ったのが男性だったのでしょうか。一方で、表紙の女性は泣いていて、「ここぞ、というときに女の涙」という、あざとさを指南するような特集もあります。いずれも男女の関係を仕切るのは女性、というイメージです。
ピックアップしたページでは、クリエイティブな仕事をしている方たちが、男女の会話に使える当時の現代用語を解説しています。おしゃれ情報を会話にまぶして、男性をリードしていく、ということです。いまなら、わからない用語があればすぐに検索して解決できるのですが、当時はインターネットもスマホもありません。また、これらの現代用語は、辞書を引けば意味が理解できる言葉でもありません。まさに読者がその時に知りたい情報をギュッとわかりやすくまとめた特集だったのです。世の中の女性の「知りたい」というニーズをうまくキャッチし、具現化する。それがいまも続く『anan』らしさです。
1985年2月1日発売(2月8日号) No.465