1970年、エルジャポンの日本版として華々しく創刊した『anan』。海外の最新ファッションやライフスタイルを紹介して女性たちの心を掴んでいましたが、実は海外の料理もレシピカードという形で紹介していました。ただ、そのメニューはひなどりのむし焼き、アーモンド入りクリーム菓子(ガレット・デ・ロワ)等、オシャレで憧れる気持ちにはなるのですが作るには難易度高めのものがほとんどでした。それから15年後の1985年、満を持して初めて『anan』で第1特集で料理を取り上げました。この料理特集で注目すべき点は、コンセプトが「美味しい料理を男性のために作る」ではなく、「簡単」「失敗のない」「10分でできる」ということ。表紙を見ても女子二人が料理を練習しているような光景です。まずは自分が美味しい料理を作って食べるという自己満足感を高めているところが『anan』らしいです。
今回ピックアップしたページには料理家の小林カツ代さんが「イモコロご飯」のレシピを紹介しています。前半ページを読むと、カツ代さんは結婚するまで一度も料理したことなかったこと、生まれて初めてのみそ汁作りで大失敗したエピソードが書かれています。ここは多くの読者の心を掴み、「わたしでも料理上手になれるかも」と勇気づけられたのではないでしょうか。また肝心のレシピでは「さつまいもをいちょう切りに…」で終わらずに、「さつまいもをタテに4つ割りにし、7mmぐらいに切ると、いちょうの形になるんですよ」とやさしく書かれていて、料理初心者はホッとします。
料理特集では他にもカレーの作り方や、10分料理レシピ等、初心者向けのレシピが多く紹介されています。ただ「料理は苦手」「面倒」「人が作った美味しいものを食べたい」という女心もしっかりと理解していて、なんと第二特集は『温泉』。しかも「美味しいごはんの温泉」です。読者は料理に励んだのでしょうか? それとも美味しいご飯の温泉へいったのでしょうか? 女性の本音もしっかりカバーされていました。
Contents
- 5
- 今週のゼッタイおすすめ
●ビリー・オーシャンさん
- 6
- アンアン料理講座レッスン1
第1章 簡単で、失敗のない料理から覚えよう 10分でできて、おいしいミニ料理
- 18
- アンアン料理講座レッスン1
第2章 いつ作っても、同じ味に仕上がる料理をひとつ手持ちにする とりあえず、カレーライスの名人になる勉強
- 22
- 10月か11月に
温泉に行きたい
おすすめの私の、故郷(ふるさと)の温泉
- 31
- 今週のいい服
- 33
- 今週のアタマとカオ情報
- 35
- 今週の小さなモノ、大きなモノ
- 37
- 今週のおいしい店
- 39
- 今週のいい映画みなさい!
- 41
- 今週のワァ面白そう
- 43
- 今週の眼
●田中康夫
- 45
- 10月か11月に
温泉に行きたい
美味しいごはんの温泉 露天風呂のある温泉 美しい肌になる温泉
- 56
- アンアン読者アンケート
- 62
- もう、刺激も過激もたくさんだ!
服も、人間も、素朴にかぎる 金子功
- 68
-
私は、この秋、紫を着たい 中島伊津子
- 72
- 着ごこちも良くなきゃいい服とは言えない
- 77
- 特別綴込み アンアン料理講座レッスン1
第3章 おいしい店の、おいしい味を真似する プロが教えてくれた10分間料理 14
- 114
- アンアン占星術
●恋と仕事と友だちと
- 118
- アンアンミニコミ
- 124
- インフォメーション
- 164
- 好評連載第2部
●南青山物語●林真理子
1985年9月13日発売(9月20日号) No.495