『anan』誌上でヘアカット 髪形を変えてきれいになる

『anan』は創刊間もない頃から、ショートカット、ブルックシールズヘア、フラッパーヘア、刈り上げヘアなど様々な髪型を女性たちに提案し、ヘアスタイルの流行を作り出してきました。1980年代後半になると、特定のヘアスタイルを提案するのではなく、「髪形を変えて変身しよう」という方向性に変わっています。初期の『anan』は女性たちの先頭にたってヘアスタイルをナビゲートしていましたが、時代の変化や雑誌創刊20周年を目前に、同じ流行に多くの人が倣うのではなく、それぞれが自分に似合うヘアスタイルを見つけましょうと諭しているようにも感じます。

今回ピックアップしたページは、当時から『anan』で大人気だった小泉今日子さんが前髪をカットしているシーン。もともとショートヘアやボブヘアが多かったという小泉さんが、結んだり、工夫しながらロングヘアに挑戦していたころ。そろそろ切ろうかな？　というタイミングで『anan』編集部が「切りませんか？」と申し込んだのだそう。全体の長さはほぼそのままで、前髪だけを4cmばっさりカットしたのが表紙のスタイルです。
この号を皮切りに『anan』誌上で著名人が髪形を変えることはひとつのブームになりました。小泉さんはその後、1989年の『anan』No.678で長い髪をバッサリとカットしてショートボブヘアになっています。1987年といえばバブル景気が始まってまだ間もない頃。遊びたい！　きれいになりたい！　女性たちはそんな欲望を以前より強くもつようになった頃と重なります。そんな中で『anan』は、自分に似合う髪形がわからないしどのような髪形にしたいかわからない、でも髪を切ってきれいに変身したいという読者に対して、テレビや雑誌に登場する憧れの著名人をモデルにして、そっと背中を押していたんですね。