1972年、日本の婚姻件数は109万件を記録。この数は現在に至るまで最高の数となっています。そんな結婚ブーム? の中、1973年の『anan』No.86では初めて大々的に結婚特集が組まれました。「リサのファッショナブルなお嫁入り仕度」と題して、『anan』の表紙にもたびたび登場しキュートなルックスで絶大な人気を誇った秋川リサさんの結婚について紹介。ウエディングドレス、ハネムーンの服装をインタビューやグラビアでオシャレに紹介。また、「森の中のウエディングドレス」というドレスコレクションや、「披露宴に呼ばれた時の服」というパーティードレスコーディネートなど、今ある結婚総合情報誌に繋がるようなページもあります。
「この秋の流行は海外ハネムーンですって。でも王座はいぜん宮崎だけど。」と当時の新婚旅行先として人気だった宮崎の徹底ガイドも。宮崎空港に降り立つ新婚カップルのレポート(ファッションや花束(ブーケ)の有無など)、旅の予算(4泊5日13万円)、観光コース紹介、持ち物(蝉の羽のようなネグリジェ!)等、新婚旅行に胸膨らませる内容です。ちなみに当時、大安吉日の夜の宮崎のホテルは新婚さんで満室になり、どこも共通して和室→ダブル→ツインの順で予約がいっぱいになったそう。
『anan』No.86の「結婚特集」は読者に「結婚って素敵! 憧れる!」というイメージだけもたせるのかと思いきや、それだけで終わらない。ちゃんと現実も伝えています。今すぐ結婚したい人/一生結婚したくない人へむけて「結婚を考える事典」と題して、指輪、妊娠、離婚、姑等24項目について、一度立ち止まって考えさせられるページが。「相手の意見に一生妥協」「結婚できる状態ならいつでも適齢期」などドキリとする文言も飛び出し、結婚したい人に対しては危険ですと危惧し、結婚したくない人には対してはひねくれるなと言っています。
ちなみに、少し浮かれ気味に紹介していた宮崎の特集でも最後は「女の子は冒険好きだけど宮崎には冒険なんてない。でも、結婚て冒険ですヨ」で締めくくり。このように『anan』は夢はもちろん現実も読者に伝えつつ、女性を応援してきました。そして、今も昔も女性は結婚について夢を描き、悩み、葛藤しているんですね。
1973年10月20日発売(11月5日号) No.86