『anan』で大人気特集の一つ「モテコスメ」。トレンドコスメにときめいたり、最先端の美容テクノロジーやアンチエイジング情報を見て意気揚々としているかたも多いのではないでしょうか?
もちろん『anan』は創刊時から美容に関する特集を多く組んでいて、初のメイク大特集は1982年の『anan』No.318でした。当時の新作コスメやメイクテクニックの紹介なのかと思いきや、表紙の真ん中には「メークの常識に怒る!」とあります。該当ページを読んでみると、「欠点ばかりをカバーするとメークの楽しさが半減し、画一的になり自分らしさを生かしきれない」「個性派時代という言葉はファッションだけに当てはまるんじゃない」と、自分に合うメイクを楽しもうと提案しています。
※ 現在は「メイク」という表記ですが、1982年当時は「メーク」という表記でした。
今回ピックアップした『anan』No.318のこのページは「ナチュラル・メーク(自分を生かすか)」と「メークアップ(自分を変えるか)」のテクニックを紹介しています。2010年代の『anan』コスメ特集であれば「モテコスメ」「シーン別メイク」等、他者に与える印象も考慮したメイクの紹介をしていましたが、このNo.318は自分のためのメイクだったことが伺えます。自分らしくいられるためのメイク、という流れは近年また一周して戻ってきているようです。
ちなみに、このメイク大特集の巻頭は当時爆発的人気だったブルーシャドーについて。日本人には似合わないのになぜ売れるのか? というルポルタージュで単に「流行っているから」ではないか、と、ワンパターンで自分らしさがない画一的なメークになりがちだった80年代の女性に警鐘を鳴らしています。
ちなみに1970年代初期の『anan』のメイク特集は「初めての化粧」といった具合にメイクの基礎を紹介するものが多く、次第にアイメイクに焦点を当てたり、着こなしとメイクという組み合わせの提案にバージョンアップしていきました。女性の化粧は世相を反映しているといわれます。『anan』はメイクを通して世の中の動きを敏感にキャッチし、読者の生き方も提案していきました。
1982年1月29日発売(2月5日号) No.318