バブル時の、夜遊び

1980年代後半といえばバブル景気の真っ只中。ディスコやクラブは連日朝まで満員、就職活動では内定者にはクルーズ旅行、ブランド品が飛ぶように売れる…日本中が狂喜乱舞していた時代です。「花金」という言葉が生まれたのもちょうどこの頃といわれています。『anan』もそんな世の中のニーズに応じて「夜遊び」「パーティー」「ディスコ」といったキラキラ眩しい特集を組んでいました。隔世の感があります。

今回ピックアップしたのは1988年の『anan』No.624。「徹底的に夜遊びする！」という特集のタイトル通り、内容は夜遊びのノウハウでいっぱい。朝までオープンしているお店、華やかメイクテクをはじめ、終電情報、六本木や渋谷にあるコンビニ、トイレ、ホテル、テレガイドが一目でわかるマップが紹介されています。ちなみに、テレガイドとは当時都内のファッションビルやホテルのロビーに設置されていたモニターで、簡単な操作で遊び場情報やホテルの空室情報がわかる仕組みになっていました。スマホがない時代の読者のニーズを的確につかみ、わかりやすく形にしていました。
ここで終わらないのが『anan』です。この特集号の中で最も『anan』らしいと感じたのが、「今朝は、夜遊びあとのスキンケア」というページ。思いっきり飲んで騒いだ後、疲れ切ったお肌に与えたいスペシャルコスメを紹介しています。ただ奔放に夜遊びするだけではなく、その翌日の美容もきちんとしたいという、自分の欲望のために努力を惜しまない姿勢がさすがです。ある意味全方向に全力な、パワフルな時代を感じさせます。