『anan』とファッション

それまでの女性誌とは一線を画し、新しいファッション誌として創刊した『anan』。初期は「アイビールック」「リセ」「ニュートラ」等それまで日本で知られることがなかったファッションカテゴリーを紹介し、1980年代に入るとDCブランドブームと共にハウスマヌカンやスタイリスト、プレスというファッション業界の職業に注目しました。また「おしゃれグランプリ」という企画も始まり、全国津々浦々でおしゃれな人のスナップを撮り（事前告知あり）、誰が一番オシャレなファッションをしているかを選考し、誌面で発表するというものでした。この企画は好評で、1994年まで定期的に行われました。このように70年代から90年代にかけて、『anan』は全国の読者に「オシャレをしよう！」と呼びかけていたのです。

今回ピックアップしたページは『anan』No636の「いまこそジーンズ」という特集（デニムではないところが時代を感じます）。ジーンズの様々な着こなしが紹介されているのですが、当時のパリコレでジーンズが注目されたという裏付けのもと、この特集は組まれています。他にも、大人気の東山紀之さんにジーンズの着こなしをインタビューするなど、かなりリッチな内容です。
1980年代、最新のファッション情報を手に入れるツールは雑誌かテレビが主でした。『anan』は週刊誌という強みをいかして、毎週メイクやインテリアなど女性の好奇心を満たす特集を届けると同時に、シーズンごとのファッション情報を読者に伝えていました。高度経済成長期以降の日本のファッション史を語るうえで、『anan』は絶対に外せない雑誌へと成長したのです。