『anan』と女性のカラダの歴史

「女性のカラダ」。これは『anan』の50周年を語る上で絶対に外せないトピックのひとつ。この50年で女性たちの「カラダ」、特にダイエットへの関心はどのように変化したのでしょうか？　まずは創刊初期の1970年代。この頃の『anan』には「ダイエット」という文字は見当たりません。当時の女性は、「ウエスト64以上の豊かな体型」という企画からもわかるように、体型について「自分らしさ」を追求し、痩せへの関心は低めでした。80年代に入り、「フィットネスブーム」が到来。女性たちの間で「カラダ」への関心が高まり始めました。『anan』でも「〇日間で〇kg痩せる」といった体験レポートが人気で、痩せてイメージチェンジするということが、女性の目標になった時代です。そして、90年代。日本人の平均的な体型が向上し、自信のついた女性たちは、憧れだったタレントや有名人を目標にするようになったのです。

今回ピックアップしたのは2002年の『anan』No.1298。今も女優として活躍する小雪さんの美しい姿にうっとりします。2000年代に突入し、女性たちは引き続きプロポーションの良い有名人に憧れ、「私もこうなりたい！」と、目標にしました。さらに、女性たちはダイエットに「緊急性」を求めるようになり、『anan』のダイエット特集でもたびたび「緊急ダイエット」という言葉が多く使われました。これは、ちょうど時を同じく、インターネットの普及が急速にすすみ、人々が何にでも「速さ」を求めるようになったことが背景にあるのかもしれません。
その後、「ダイエット」や「カラダ」にまつわる特集は大きく変化します。「痩せ」は次第に「痩せ体質」や「引き締め」になり、より具体的に、健康的になります。また、「美尻・美脚・美乳」という特集も増え、パーツに細分化され、美しさが画一的ではないというように、焦点が変わっていきました。
『anan』は50年前から、その時代の女性のニーズに合わせた「美しさ」を提唱してきたのです。